必死に生きる。ワイ。

1 : 26/08/02(日) 22:34:03 ID:lzkg
ワイの話を、少しだけ聞いてほしい。

たぶん長くなる。

でも、この話はずっと誰にも話せなかった。

だから今日だけは、画面の向こうの誰かに聞いてもらいたい。

2 : 26/08/02(日) 22:34:29 ID:lzkg
春という季節は、不思議だ。

桜は誰にでも平等に咲く。

新しい制服も、新しい教室も、新しい教科書も。

全部が希望に満ちているように見える。

でも、その希望が眩しすぎる人間もいる。

ワイは、その一人だった。

4 : 26/08/02(日) 22:34:49 ID:lzkg
ワイはいわゆる陰キャだ。

人前で話すのは苦手。

笑いの輪に入る勇気もない。

昼休みは本を読んでいるふりをして、時間が過ぎるのを待つ。

ネットなら「チー牛」の一言で終わるような人間。

そんなワイが、努力だけを頼りに県内でも有数の進学校へ入学した。

合格発表の日。

マッマはワイより先に泣いた。

「頑張ったね。」

その四文字だけで、報われた気がした。

あの日までは。

5 : 26/08/02(日) 22:35:16 ID:RklB
>>4
五文字だろ!
6 : 26/08/02(日) 22:35:40 ID:lzkg
入学して一週間。

すぐに気づいた。

ここは秀才の集まりじゃない。

「努力が当たり前」の人間が集まる場所だった。

休み時間には大学数学の話。

先生が問題を書き終わる前に答えが飛ぶ。

模試の判定を笑いながら語り合う。

ワイだけが、その教室で静かに息を潜めていた。

7 : 26/08/02(日) 22:36:17 ID:lzkg
勉強が難しかったわけじゃない。

「普通」でいることが難しかった。

ワイにはASDがある。

ADHDもある。

トゥレット症候群もある。

そして、中学生の終わり頃から鬱を抱えていた。

誰にも見えない荷物を背負って、毎日学校へ向かっていた。

8 : 26/08/02(日) 22:36:49 ID:RklB
>>7
病気のバリューセットかっ!
9 : 26/08/02(日) 22:37:15 ID:lzkg
授業は戦場だった。

黒板を見ようとする。

でも廊下を歩く音が気になる。

隣のシャーペンをノックする音が耳から離れない。

誰かの咳。

窓を叩く風。

時計の秒針。

世界中の音が、一斉にワイへ押し寄せてくる。

「ちゃんと聞いてるか?」

先生のその一言で現実へ引き戻される。

教室中の視線が刺さる。

たった数秒なのに、一日分の体力が消えていった。

10 : 26/08/02(日) 22:37:49 ID:6Eiw
ウザイから1行開けるのやめてくれんか
13 : 26/08/02(日) 22:38:17 ID:RklB
>>10
お前の方がうざい!
11 : 26/08/02(日) 22:37:57 ID:IUyy
ラノベとか書いてそう
12 : 26/08/02(日) 22:38:06 ID:lzkg
トゥレットとチックは、止めようとするほど強くなる。

喉が勝手に音を出す。

肩が跳ねる。

必死に抑え込もうとしても、体は言うことを聞かない。

「またか。」

誰かが小さく笑う。

その一言は教室ではすぐ消える。

でもワイの心には、何年も残った。

15 : 26/08/02(日) 22:39:12 ID:lzkg
家には父親がいない。

物心ついた頃には、マッマと二人だった。

朝はまだ暗いうちに仕事へ向かい、

夜は星が出る頃に帰ってくる。

それでも玄関を開けると、

「おかえり。」

その一言だけは、どんな日も変わらなかった。

子どもの頃は、それが世界中の「普通」だと思っていた。

16 : 26/08/02(日) 22:39:40 ID:RklB
>>15
あ、ただいま
17 : 26/08/02(日) 22:40:09 ID:lzkg
眠れない夜が増えた。

布団に入るたび、学校で言われた言葉が頭の中で繰り返される。

「もっと集中しろ。」

「またチックか。」

「そんなこと気にしすぎ。」

誰も悪気はなかったのかもしれない。

でも、優しさで人は救われるように、

何気ない一言で、簡単に壊れてしまうこともある。

眠れない夜、ワイはスマホを開いた。

SNSは眩しすぎた。

みんな笑っていた。

みんな楽しそうだった。

その光が、ワイには痛かった。

だから気づけば、おんJを開いていた。

19 : 26/08/02(日) 22:41:29 ID:lzkg
最初はROM専だった。

流れてくるのは、くだらない雑談。

野球。

ゲーム。

「草。」

「寝ろ。」

「イッチ、頑張れ。」

現実では誰にも名前を呼ばれないワイが、

ここでは「イッチ」と呼ばれていた。

名前も知らない。

顔も知らない。

それでも、名無したちはワイの書き込みに返事をくれた。

たった数文字だった。

でも、その数文字が、

教室でどんな励ましの言葉よりもワイは温かく感じた。

20 : 26/08/02(日) 22:42:13 ID:lzkg
高校最初の定期試験。

中学の頃と同じように勉強した。

いや。

むしろ、それ以上だった。

夜中まで机に向かって、眠い目をこすりながら問題集を開いた。

それでも結果は、下から数えた方が早かった。

21 : 26/08/02(日) 22:42:55 ID:lzkg
答案を返された教室は、不思議なくらい明るかった。

「あと2点で満点だった。」

「凡ミスしたわ。」

そんな会話が飛び交う。

ワイは答案を二つ折りにして、鞄の奥へ押し込んだ。

誰にも見られたくなかった。

一番見られたくなかったのは、自分自身だったのかもしれない。

22 : 26/08/02(日) 22:43:31 ID:lzkg
帰り道。

電車の窓に映る自分を見た。

疲れた顔。

猫背。

眠そうな目。

「何のために頑張ってるんだろう。」

その言葉だけが、何度も頭の中を回っていた。

23 : 26/08/02(日) 22:44:22 ID:lzkg
家に帰ると、いつもの匂いがした。

カレーだった。

「今日はちょっと奮発した。」

マッマは笑っていた。

その笑顔を見た瞬間、試験の話はできなくなった。

「どうだった?」

その質問が怖くて仕方なかった。

24 : 26/08/02(日) 22:44:52 ID:RklB
>>23
毎日カレーかい!
25 : 26/08/02(日) 22:45:16 ID:IUyy
最高に面白いから続けて
26 : 26/08/02(日) 22:45:25 ID:lzkg
「まあまあ。」

嘘だった。

ワイは昔から嘘が下手だった。

でも、その日だけは、嘘をつくしかなかった。

マッマは何も聞かなかった。

たぶん、全部気づいていたんだと思う。

27 : 26/08/02(日) 22:46:12 ID:lzkg
夜。

風呂から上がってリビングへ行くと、マッマが電卓を叩いていた。

家計簿だった。

封筒から千円札を何枚も数えている。

ワイに気づくと、慌ててノートを閉じた。

「もう寝なさい。」

その声は、少しだけ疲れて聞こえた。

28 : 26/08/02(日) 22:47:08 ID:lzkg
ある日、学校で進路希望調査が配られた。

東京大学。

京都大学。

医学部。

紙には、そんな名前が並んでいた。

周りは当たり前のように書き始める。

ワイのペンだけが止まっていた。

未来を書くには、自信が足りなかった。

29 : 26/08/02(日) 22:47:46 ID:lzkg
その日の帰り。

駅まで歩いていると、クラスメイトが笑いながら話していた。

「将来は研究者かな。」

「海外も面白そう。」

その輪に入る勇気はなかった。

追いつくこともできなかった。

気づけば、一人で歩く速度だけが少し速くなっていた。

30 : 26/08/02(日) 22:48:25 ID:RklB
>>29
競歩部の監督「あの子はいいね…」
31 : 26/08/02(日) 22:49:06 ID:si04
どんな進学校やねん
32 : 26/08/02(日) 22:49:11 ID:lzkg
眠れない夜は、おんJを開いた。

相変わらず、野球のスレやゲームのスレが立っていた。

くだらないことで笑って、

知らない誰かと一言だけやり取りをする。

現実ではうまく笑えないのに、

画面の前では少しだけ笑える自分がいた。

「草」

たったその一言が、心に残った。

33 : 26/08/02(日) 22:49:56 ID:lzkg
その夜。

布団の中で天井を見つめながら考えた。

もしワイが、普通の人間だったら。

もし障害がなかったら。

もし父親がいたら。

そんな「もし」を数えても、朝は必ずやってくる。

窓の外が少しずつ明るくなる。

また一日が始まる。

それでも制服に袖を通した。

理由は一つだけだった。

玄関で待つマッマに、心配だけはかけたくなかったからだ。

34 : 26/08/02(日) 22:50:23 ID:IUyy
これはオチ壮大やろうな
35 : 26/08/02(日) 22:50:44 ID:lzkg
秋が近づく頃には、教室の空気にも慣れた。

……慣れたというより、諦めた。

昼休みは相変わらず一人。

誰かと話すこともなく、窓の外を眺めて時間が過ぎるのを待った。

人に囲まれているのに、ずっと一人だった。

36 : 26/08/02(日) 22:50:56 ID:si04
これ実話?創作?
37 : 26/08/02(日) 22:51:30 ID:lzkg
一応実話ではある
38 : 26/08/02(日) 22:52:02 ID:lzkg
ある日、担任に呼び止められた。

「最近、大丈夫か?」

その一言で、何かが崩れそうになった。

「大丈夫です。」

気づけば、そう答えていた。

日本人が一番つく嘘は、

「大丈夫」なのかもしれない。

39 : 26/08/02(日) 22:52:48 ID:lzkg
その日の帰り道。

駅のホームで電車を待っていた。

目の前を電車が通り過ぎる。

風だけが顔に当たる。

ふと、思った。

「明日も同じ一日なんだろうな。」

そんな考えが浮かんだ自分が怖くなって、慌てて首を振った。

41 : 26/08/02(日) 22:53:13 ID:RklB
>>39
おいやめろ!飛び降りるな!
40 : 26/08/02(日) 22:52:51 ID:YHdG
おまえこれから死ぬ気か?
43 : 26/08/02(日) 22:53:32 ID:lzkg
家に帰ると、マッマが夕飯を作っていた。

「今日はハンバーグだよ。」

子どもの頃から、ワイの好物だった。

でも、その日は一口も味が分からなかった。

箸だけが、ゆっくり動いていた。

44 : 26/08/02(日) 22:53:58 ID:RklB
>>43
カレーじゃねーのかよ!
45 : 26/08/02(日) 22:54:19 ID:lzkg
食べ終わったあと、ワイは勇気を振り絞って言った。

「学校、辞めたい。」

静かな部屋だった。

時計の音だけが響いていた。

マッマは何も言わなかった。

ただ、静かにワイの顔を見ていた。

46 : 26/08/02(日) 22:55:07 ID:lzkg
長い沈黙のあと、

マッマはゆっくり口を開いた。

「辞めてもいい。」

その言葉に、思わず顔を上げた。

「でもね。」

「生きることだけは、絶対に辞めないで。」

その瞬間、張りつめていた何かが切れた。

ワイは子どもみたいに泣いた。

声を上げて泣いたのは、何年ぶりだっただろう。

47 : 26/08/02(日) 22:55:32 ID:YHdG
よかった生きてた
48 : 26/08/02(日) 22:55:52 ID:xyUI
優しいマッマやな
49 : 26/08/02(日) 22:56:16 ID:lzkg
その夜は眠れなかった。

リビングから、小さな物音が聞こえた。

喉が渇いたふりをして部屋を出る。

ドアの隙間から見えたのは、

電卓を叩くマッマの背中だった。

机には請求書。

家計簿。

封筒。

そして、小さな涙。

「どうしたら、この子を守れるんだろう……。」

その独り言は、

今でも耳から離れない。

50 : 26/08/02(日) 22:56:20 ID:si04
そろそろ寝る時間や
明日また見とくわ
52 : 26/08/02(日) 22:57:45 ID:lzkg
ワイは部屋へ戻った。

見てはいけないものを見てしまった気がした。

苦しいのはワイだけだと思っていた。

でも違った。

ワイが苦しい以上に、

マッマは毎日、一人で戦っていた。

その事実が、胸を締めつけた。

53 : 26/08/02(日) 22:58:49 ID:lzkg
眠れない夜。

また、おんJを開いた。

「人生終わった」

そんな適当なタイトルのスレが立っていた。

みんな好き勝手なことを書いていた。

「終わってから言え。」

「まだ高校生なら何とかなる。」

「今日はもう寝ろ。」

画面越しの、たった数文字。

それだけなのに、不思議と肩の力が抜けた。

名前も知らない誰かの言葉に、

救われる夜があった。

54 : 26/08/02(日) 22:59:40 ID:lzkg
翌朝。

鏡の前に立った。

目は腫れていた。

それでも制服に袖を通した。

「行ってきます。」

玄関でそう言うと、

マッマはいつも通り笑った。

「いってらっしゃい。」

その笑顔の裏にあるものを、

ワイはまだ全部知らなかった。

でも、一つだけ決めた。

もう少しだけ、生きてみよう。

その「もう少し」が、

人生を変える最初の一歩になるなんて、

この時のワイは、まだ知らなかった。

コメント

タイトルとURLをコピーしました