https://news.yahoo.co.jp/articles/58dcb8e079e287b7b94c6d73a494f7fa78a1abac
「日本の空気が嫌になった。暴力がはびこるサッカーも部活動も」
6月下旬、真新しい制服の15歳の少年は、記者に重い口を開いた。熊本県八代市の秀岳館高校男子サッカー部で3月、上級生から暴行を受け、被害者なのに入学辞退することになった。事件直前まで希望にあふれていた男子生徒は、問題を見て見ぬふりする大人たちに巻き込まれ、サッカーだけではなく日本社会そのものに絶望していった。
夕方の食堂だった。秀岳館高校のサッカー部では体力を付けるため、1食当たり800グラムのご飯を食べる決まり。配膳は1年生が担当し、この日は数日前に入寮したばかりの男子生徒も加わった。茶わんに山盛のご飯をついでいた時、背後に気配を感じた。
「おいおまえ、調子乗るなよ」「56すぞ」。ドンッ。全身に衝撃が走り、目の前が真っ白に。しばらくたってから、殴られた、と分かった。ただご飯を盛っていただけなのに、暴行の理由は分からない。けがはなかったが、底知れぬ恐怖だった。
暴力はびこるサッカー部 15歳の夢奪う
全国大会出場やプロを目指し、スポーツ推薦で熊本県外の中学から熊本にやってきた。サッカーに集中できる胸躍る日々を思い描いたが、いじめや暴力がはびこる雰囲気がすぐに分かった。母親に買ってもらった新品のキーパーグローブはなくなり、スパイクが見つからない部員もいた。どんなにコーチや上級生の行為を目撃しても、学校が問題にすることはなかった。
「何があっても、もみ消されている」。入寮数日で異様さを感じた男子生徒は当時、母親にそう伝えた。「5月までは(お客さんの)新人を殴らない」との暗黙のルールもあったが、守られていなかった。
「この学校はサッカーを腐らせている」
県内外から集まった同級生が口々につぶやいた。「おれは辞める。おまえは」。そんな言葉が当たり前のように交わされた。200人もいる部員。レギュラーになるチャンスは少ない。11人のエリートを、そのほかの大多数の部員が経済的、精神的に支える構図。サッカーに真剣に取り組める環境とは思えなかった。
「入学にお金が掛かっているのも、親不孝なのも分かっている。でももう無理。逃げ出したい。迷惑かけてごめん」。何を見ても耐えてきたが、暴力は無理だった。殴られた後、男子生徒は母親にLINE(ライン)し、警察に被害届を出すことになった。
殴られた被害者であるはずなのに、学校の対応は冷たかった。被害届の提出について、サッカー部の当時の男性監督は「子ども同士がじゃれていただけだ。被害届は気分が悪い」と母親に言い放った。
数日我慢すれば入学式があり、高校生になれるはずだった。しかし、学校が示した道は「入学辞退」。用意された書類にサインし、4月早々、中学生でも高校生でもない〝浪人〟になってしまった。
同時期、複数の同級生が部内で見た暴力や不正行為に耐えられず、別の高校に移った。新天地で部活動を楽しむ友人とは対照的に、男子生徒だけ転校の道が閉ざされた。親身になってくれる学校職員はおらず、被害届への〝報復〟としか思えなかった。
「暴力から逃げるのがまずは大事、その後はなんとかなる」。母親は最初そう考えていた。まだ15歳。地元に戻り、自宅にこもる生活が始まった。アルバイトしようにも年齢制限に引っかかる。「サッカーがしたい。勉強がしたい」。そう言うわが子を見て、母親は自分を責めた。「なぜ被害者がつらい思いをしないといけないのか」と、むなしさも募った。
知事が〝鶴の一声〟 手のひら返しの大人
4月20日、秀岳館高校男子サッカー部の男性コーチが部員を殴る蹴るした動画がインターネット上で拡散されると、テレビや週刊誌を巻き込み、体罰をめぐる報道が過熱した。
その後、上級生に殴られ、入学辞退を余儀なくされた男子生徒の存在も報道されることになる。
これで何か変わるかもしれない。誰かが手を差し伸べてくれるかもしれない-。母親には一筋の光に思えたが、淡い期待はすぐに裏切られた。秀岳館高校はもちろん、私学を所管する県私学振興課も「私学だから県は何もできない。転校できない」とそっけなく、見て見ぬふりのように感じられた。
事態が動いたのは5月10日、再び男子生徒の実情が報道されると、蒲島郁夫知事が「進学できないのは看過できない」と明言。県や学校の対応はウソのように一変した。県私学振興課は「秀岳館高校が入学をいったん認める形で転校できるようにする」とし、1週間後には中川靜也校長が「このたびの暴力行為を深くおわびする」と謝罪した。入学辞退届が男子生徒に返却され、あれよあれよと転校できる態勢が整った。
大人たちの手のひら返しとも言える対応だった。知事の〝鶴の一声〟をきっかけに、ようやく動いたとも見える関係者ら。加害者ではなく、被害者が追いやられる現実に、母子は1カ月以上も耐えなければならなかった。
「この子を見捨てない」 手を差し伸べた法人も
その裏で、手を差し伸べようと走り回ったサッカー関係者もいた。転校できない男子生徒の実情が報じられた日、宮崎県都農町の一般社団法人「ツノスポーツコミッション」から記者に連絡があった。「僕らに何かできないか」。数時間後、真っ黒に日焼けしたコーチらが、熊本までやってきた。
同法人は、都農町を本拠地とする社会人サッカークラブ「ヴェロスクロノス都農」や町と連携し、高校生が寮生活でサッカーや勉学に励む「ツノスポーツアカデミー」を運営。そのコーチらがニュースを見て立ち上がった。「暴力でサッカーはうまくならない。この子を見捨てたら、僕らは競技者とは言えない。いつでも受け入れたいと、彼に伝えてほしい」。そう言い残すと、車で片道3時間の帰路についた。
その後、問題解決に本腰を入れた県は男子生徒の地元高校と交渉を始め、入学のめどが立った。都農に行くことはなかったが、それでも彼らの行動は母子を勇気づけた。外圧によらず、自ら行動した大人の存在は大きかった。
6月上旬、転校決定の知らせが届いた。自宅に引きこもっていた男子生徒は「本当に学校に行けるの。本当に」と母親に何度も聞き直し、飛び跳ねた。1カ月以上続いた、暗くよどんだ生活は終わった。
その後、記者に会った男子生徒は言葉少なに口を開いた。地元高校の制服に身を包んでいる。希望に満ちていると期待したが、そうではなかった。
「卒業したら海外に行きたい」
「サッカーを続けるかは分からない」
「日本が嫌になった」
転校の知らせに一度は喜んだ男子生徒だったが、その心には癒えそうもない深い傷が残っていたのだ。彼が口にしたのは、暴力を見て見ぬふりするスポーツ界への絶望と、動画が流出しないと行動しない大人たちへの失望だけだった。
全国大会に出たい。プロになりたい-。そんな言葉はもう聞けない。暴力から逃れる場所は、この国にはないと学んだからだ。彼の目には今も、暴力が映っている。(植木泰士)
この企画は熊本日日新聞とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
イケニエを庇ったらそいつが次のターゲットになる
逃げるは恥じゃないが
収まるところを探さないといけないのも事実
難しい
サッカー部だよ?
すまん、素質なかったわ。
良い記事じゃないか😁 是非頑張って欲しい
俺は20年前から思ってたけど
俺は社会人になってやっと国全体が腐り切ってるから理不尽な事が蔓延ると言うことに気付いたのに
どっちかっつうと野球や武道のイメージだけど
身体鍛えてこなかったやつが悪い
なんで強豪校とか言うところに行きたがるのか?
毎週韓国人が活躍してるんだがあちこちでネトウヨが発狂して喚き散らしてるからなww
昨日もキム・ミンジェのナポリがリヴァプールと試合してると荒らしまくって点差が開きだしたら黙り込んでたからなww
その逆のやつはいつまでもお客様
「日本人で良かった」とか「日本大好き!」とか言ってる奴に糞野郎が多いのはこれが理由だよ
元スレ:https://greta.5ch.net/test/read.cgi/poverty/1662638142
コメント